赤い風船

image

小さい頃

父に風船を買ってもらった

赤い風船 

まだね 私の心の中に ずっと無くさず持ってるよ

欲しいよ~とか 買って~って言えない子だった

ただ そこに立ち止まって ひもで縛られプカプカ空中に浮かんでる風船を見ていた

きっと 目がキラキラ輝いていたのかもしれない

「ほしいのか?」

「ううん いい   きれいだね~~」

「1つくれ その赤いの」

父の言葉に私の心は驚きとうれしさでいっぱいになった

差し出された赤い風船

心が弾んだ

少し照れた 

 

しっかりと腕にひもを絡め

飛ばないように 子供ながら細心の注意をはらった

私は 風船より 父に買ってもらったことが うれしくて

父の手をしっかりと握って歩いた

訳の分からないことを 父の顔を見上げては

いっぱい話してた記憶がある

それでも 風船のひもがはずれないか 何回も気にしてた

大事に大事に持ってたはずなのに

向こうからくる犬が怖くて 父にしがみついた

犬が通り過ぎても 父の足にしがみつき

犬の後姿を目で追った

父から離れた瞬間だった

私の手から 赤い風船が飛んだ

必死で追いかけた

でも 届くはずもない・・・

小さくなる風船を目で追いながら 空を憎んだ

泣いた 父にしがみついて泣いた

「大事に大事に持ってたのに風船行っちゃった・・・・」

 

ずっと泣いた 

手をつないで帰るときも まだ うつむいて歩きながら泣いた

父に買ってもらった大事な風船 自分の手で離してしまった

[泣くな 悲しいときは空を見るんだろう

きっと 風船も 空から ちゃんと 見ててくれてるぞ

 

私は父の手を ぎゅって 握った・・・・・・

 

もう 優しい手は 握り返してはくれないけど

ちゃんと 持ってるよ 赤い風船・・・

飛んでしまうことのない 赤い風船 

大事にするね

 

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*